2022/02/19-20 雪上訓練 西穂山荘周辺
日本山岳会岐阜支部では最近、入会者の増加に伴い、新たに雪山や岩にチャレンジする人たちが増えてきた。基礎的な知識を身につけ、次へのレベルアップをしたいという人たちの要望に答えるため、この冬は2回の訓練を実施した。今回は、包括的に基礎レベルを向上させるトレーニングとした。
雪山に登る訓練を 瀧根正幹先生にお願いした。K2 クライマーであり、山岳ガイド、そしてプロフェッショナルへの訓練企画・実施を行うことでも有名なカリスマ講師の講習は中身の濃いものであった。
中身の濃い訓練は、普段に我々が行う訓練の何倍もの効果がある。今回は訓練の行きと帰りで、はっきりと参加者の上達度合いが確認できた。加えて、山に対する対峙の仕方や自分たちの目的・目標の定め方など、山のみならず人生に通ずるお話を聞くことができて、勉強となった二日間であった。
今回行ったカリキュラムはいくつかあったが、最も重要なのは、雪山の歩行技術の基本であったと思う。アイゼンはクラストした雪質や岩稜帯では必要だが、軟雪ではつける意味がない。またアイゼンをつけて歩くと、それに力を底上げされて誰でも登れてしまうため、正確な歩行技術を身につけることが難しい。よって、ノーアイゼンで西穂山荘を往復し、雪山をしっかり投下降できる技術を身につけることができたことが良かったと思っている。アイゼンでの歩行技術は基本的にこの延長線上にある。
滑落停止訓練を行ったが滑落停止訓練の要諦は、滑落して止めることではなく、第一に滑落につながる転倒をしないこと。そして、転んだ場合は滑落開始前に瞬間に止めることであることを全員に学んでもらった。実際に自分も滑落したことがあるが、止めることは難しいのでここがポイントだ。
また間違いが多い、ピッケルの持ち方や使い方、上り下りでの持ち替えの仕方など、ギアの使い方全般をご指導いただいた。
その他、学んだことは多岐に渡った。
>積雪期テント泊技術
>ラッセル技術
>ロープワーク
などなど。
今回で基礎的なベースが大分揃ったと思う。教える側の難しさは、全員がある程度のレベルに到達していないと、次のレベルへの研修に進めることができないため、どうしても個別の対応になることや自習に頼る事になってしまうことだ。YouTubeなどの動画も役には立つが、体系化された正しい技術を学ぶことが難しい。包括的にレベル上げができるこのような訓練は定期的に行わねばならないと感じた。
お天気は良くなかったが、研修には荒天のほうがいいと思っている。天気の急変の際、慌てることなく対応できる経験になるだろう。
テントでの宴会も楽しかった。飲みすぎてしまったのでいかんが、酒の上の席も質が高かったので本当に勉強になった。